「家事問屋」とは?金属加工品の産地燕三条で生まれた、普通に見えるけど「すごい」道具

はじめに

私はキッチン関連のお仕事を始めて20年以上になります。

もともと食べること、作ることが好きでこの仕事に就いたので、いままで国内外のいろんなキッチン道具を見たり、使ったりしてきました。

今回お話ししようと思うキッチン用品のブランド、「家事問屋」さんの商品も、もちろんいくつか愛用しています。

「家事問屋」は新潟燕三条の会社、下村企販さんが企画、販売されているブランドです。製造は燕三条の地場の金属加工工場さんが行っています。
燕三条では、古くから分業制でものづくりがされてきました。
一つ一つの会社は、家族と数人の従業員でやっているような、小さなところが大多数。

大きな工場で同じものを量産するのではなく、小さな工場で手作業の部分が多い作り方。一度にたくさんの数を作るのではない、そんなブランドです。 

 

家事問屋の商品を初めて見たときのこと

キッチン・インテリア商品の展示会に行ったとき、シンプルなデザインのブースでひときわ目立っているところがありました。(2015年?2016年?あまり記憶が定かではありませんが・・・)それが家事問屋さんの商品を初めて見たときだと思います。

一見普通の調理道具。でも肉厚のステンレスは美しい仕上げで、形もどこか洗練されていて、これはいいな、と思った記憶があります。

 

「家事問屋」が生まれた背景

 「家事問屋」ブランドが生まれた背景には、日本の地場産業の普遍的な問題がある、という話をお聞きしました。いわゆる小さな工場の後継者不足や廃業、日本の各地で起こっている問題です。

それぞれの工場が得意とする技術を活かし、工程ごとに分担して進めていき、全体として「家事問屋」の商品ができる。

日本の地場産業の高い技術を失くさないため、新しい切り口で商品が開発されるのは素晴らしいことだな、と感じました。

 

取り扱わせていただいて感じたこと、わかったこと

わたしたちの会社で取り扱いをさせていただくことになり、その後、毎年新しい商品が加わり、どんどん人気になっていくのを見てきました。
以前、発注をお願いしても商品がなかなか入荷しない、ということがあり、次回納期を確認すると、「来週〇〇個上がってくるので、〇〇に納品できます」というお答え。あらためて「大量生産じゃないのだなあ」と感じた瞬間でした。

 

家事問屋を企画されている下村企販株式会社の久保寺さんに聞いてみました。 

どんな風に家事問屋の商品は生まれているんだろう?生みの親の下村企販株式会社の久保寺さんにお尋ねしました。

 

morita
今日はよろしくお願いいたします。家事問屋の商品はステンレスが肉厚なところ、仕上げがきれいなところが好きです。

久保寺さん
ありがとうございます!

morita
それでは、まず、商品作りの一番のこだわりをおしえてほしいです。

久保寺さん
売れ筋やトレンドを追わないことです。

morita

久保寺さん
世間で人気の売れているものではなく、昔からあるけれども(例えば説明が足りなくて)あまり売れなかったものを改良したり、他の会社さんが「売れないから作らない」ものを作ったり。

お店で並んでいてもそんなに爆発的に売れない(笑)、けれどもキッチンで必要なもの、を作ることを意識しています。

morita
なるほど!
でも、ホットパン、すごい人気ですね。

久保寺さん
実はホットパンは、こだわりすぎて企画開発に時間がかってしまって、(3年!とのこと)ホットサンドブームの時に出せなかったんですよ(笑)

morita
ここでも流行りにのらなかったんですね!

久保寺さん
一周まわって、商品自体の良さがしっかり伝わって、おかげさまでずっと品薄状態が続いています。1個14,000円とホットサンドの器具としては非常に高額ですが、使っていただくと納得いただけると思います。

morita
なるほど。私もずっと使ってみたいなとおもっていた商品です。
在庫が安定したら買います!

ところで、新しい商品はどのように生まれるのでしょうか?

久保寺さん
検討商品サンプルを全部使ってみて、「しまいやすい」「洗いやすい」「サイズが適正である」この3点に当てはまるかを確認します。
買う前はあまり気にしない(考えが及ばない)収納やお掃除のしやすさについて、商品を出す前にしっかり確認し、修正します。

あと、例えばボウルなら20cmぐらいの商品がお店にはたくさん並んでいますが、それより小さいサイズというのがなかったので、あったらいいなと思って作りました。それが人気商品の「下ごしらえボウル」です。直径6㎝~13㎝まで6サイズ。
今お店に並んでいないけれど、あると便利で、しかも他の会社さんが売れないからやらない(笑)ものを作りました。

また、お客様の声から、今ある商品の改良もよく行っています。
パスタメジャーという商品があるのですが、お客様から「150gのパスタをよく食べるので50g単位で計れるものが欲しい、といわれて、検討し、実際に今販売しているのは50g計れるようになってます。

morita
産地で企画して作っている商品ならではですね。よくわかりました。

では、最後に家事問屋の商品を愛用されている方、これから使われる方へのメッセージをお願いします。

久保寺さん
長く使っていただきたいです。日本の工場で作っているというところを活かして、家事問屋ではすべての交換部品も準備してます。そこが日本で作っている良さだと思いますし、安心してお使いいただきたいと思っています。

 

 

 

私が使っているお気に入りの家事問屋アイテム紹介

たくさんの種類の商品がある「家事問屋」ブランド。
その中でも私が個人的に特に気に入って使っているアイテムをご紹介します。
どれも、見た目ももちろんいいのですが、使い続けることで毎日「いいなあ」と思える品。
やはり質感や仕上げ、ちょっとした角度、そういう細かいところがいいんだとおもいます。

 

計量スプーン5-15ml

とにかく肉厚なステンレスでできている!(聞けば厚さなんと1.5mm!)例えばちょっと固めのお味噌を力を入れてすくったりしたときにもスプーンがへにゃっとすることなどが全くなく安心感。1本で大さじ、小さじが計れます。

 

味見スプーン

竹串を刺して確認、ちょっと味見、など料理中によくあるアクションをストレスなくできるちょうどいいアイテム。細長い形なので熱いお鍋の中にいれるときもなんだか安心。

 

薬味トング

薬味やお漬物など、細かい食材をちょっとつかむのにちょうどいい小さなトング。トングは見た目安いのも高いのも同じに見えますが、持った感じやはさむときの柔らかさ、硬さで使い勝手が全然違います。これはちょうどいい柔らかめで手が痛くならずノーストレス。

 

おわりに

キッチン道具って一度買うとわりと長く使い続けるものですよね。(なかなか壊れないし、シーズンで流行が変わるものでもない)
だからこそ適当に選ばず、きちんと作られた使い勝手の良いものを手に取れば、毎日、そして長い間、気持ちよくストレスなく料理できると思うのです。

もしそんな道具を選びたいな、と思っている方がいらっしゃれば、家事問屋のアイテム、とてもお勧めです。

 

 

Writer Profile

morita

&(COOK)いろいろ担当。気づけばワイ・ヨット歴〇〇年以上。
紅茶と台湾茶が好きで、お菓子との食べ合わせを考える毎日。いつもおいしいものを食べたいです。

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